on-site Femtechで豊かな社会造り:現場女性のためのフェムテック

三天被服代表取締役、東谷麗子

一般社団法人OSKグローバルビジネス・プロモーションでは、

7月18日、一般社団法人大阪府産業支援型NPO協議会との共催で二人の女性経営者をお招きし、セミナー&プレゼン会を催しました。以下は、そのうちの一人、株式会社三天被服代表取締役、東谷麗子さんの報告概要です。

本日は当社の取り組みについてお聞きいただく機会ができありがとうございます。

それでは、「現場におけるフェムテックで豊かな社会の創造」というテーマでお話させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

当日の動画は次のURLよりご覧ください。 https://youtu.be/NkBJCJWbMM8

三天被服は、創業2015年、設立2017年の新しい会社で、ワークウエアの卸売りを行っています。特に、各企業に直接納入する形の女性専用ワークウエアの企画、製造、販売に力を入れています。また、2020年より、我々はフェムテック事業部を設立し、現在はその部門にも注力しております。

会社の理念は、「自分らしく生きることを大切にし、働く人たちの人生を豊かにする」ことです。それぞれの違いを尊重し、得意を活かし、苦手を補い合うといった豊かな社会づくりに貢献したいと考えています。その一環として、自分の価値を知るワークショップの展開も計画しています。

三天被服ホームページ→https://santen-hifuku.net/

三天被服のミッションは「自分らしく生きる」ことを支えることです。働くことは人生の大部分を占めますが、それはただ生きていくためだけでなく、自己の個性を最大限に発揮し、豊かな社会の創造に貢献するためでもあります。その実現のために、一人一人の個性を尊重し、得意を活かしあって、苦手を補い合う。そうした社会作りに貢献したいと考えています。

このビジョンを具現化するために、我々は自分自身と他者の価値を理解するワークショップを開始する予定です。また、三天被服のロゴマークは「三方よし」という経営理念を象徴しています。

女性専用ワークウエアを作り始めたきっかけは、ある製造業の女性経営者からのご相談でした。その方は「現場の女性のための可愛くて適切なワークウエアがない」とおっしゃっていました。それを受けて、私たちは彼女の従業員の方々からヒアリングを行いました。

その結果、女性が男性用の作業服を着用している現状に気づかされました。

一見男女兼用に見えますが、実際には男性用のサイズが小さくしただけのものであり、それが原因で精神的なストレスを感じている方が多いことを知りました。実は、私の実家は作業服の販売をしており、長年この業界にいる私自身も女性が男性用の作業服を着用することを当たり前だと思っていました。しかし、このヒアリングを通じてその誤りに気づきました。当然ながら、女性社員もこの状況には不満を感じているでしょう。

それどころか、最も問題なのは、我々業者自身がその状況を当たり前だと考えていることであると感じました。その後、200名以上の方からフィードバックを得るためにヒアリングを続けております。

「この所謂ヒアリングは、先ほどご紹介した企業のように、具体的に時間を割いて実施するケースが主ではありますが、実際のところ、多くの方と立ち話のような形で情報交換を行います。その際に多数の課題が浮かび上がってくるのです。

その一つとして、男性用の作業服の着用に対する問題点が挙げられます。女性であっても男性用作業服を好む方もいらっしゃいますが、反対にそれがストレスとなって仕事への意欲を奪い、場合によっては退職に繋がる事例も存在します。これは深刻な問題であり、現状、その選択肢が十分に提供されていない状況に我々の企業、三天被服は取り組んでいます。

200名以上の方から直接意見を聞く中で、女性特有の生理の課題が頻繁に報告されています。この問題は我々が長年意識していましたが、具体的にどのように解決できるのかが未確定でした。それが昨年3月に参加したエムテックセミナーを通じて明確化しました。

具体的には、作業服のパンツの中にインナーを設け、生理時の漏れを防止するというアイデアです。生理に関わる課題は数多く存在しますが、精神的負担や痛みなどは衣服で解決できるものではなく、我々が対処できる範囲を超えています。我々が追求したのは、この服を通じた課題解決でした。

最大のテーマは、出血が多い日の漏れによる困惑です。このような状況では、職場でのパフォーマンスが下がってしまいます。それに対して、我々は漏れを防止し、万が一漏れてしまった場合でも、衣服を通さないインナー付きの作業パンツの開発に取り組んできました。そのためにフェムテックチームを立ち上げ、開発を進めてきました。

フェムテックとは、「Female(女性)」と「Technology(技術)」の合成語で、約10年前にドイツで生まれた言葉です。これは、女性の生理関連の問題をビジネスの領域に引き込む動きが広まったことを象徴します。日本にはすでに10年前から存在していましたが、ここ2、3年で大きな注目を集めています。

2021年には、日本政府が「フェムテックの推進」を経済政策運営と改革の基本方針「骨太の方針」に盛り込みました。これによりフェムテックは一層認知され、新規事業や起業のチャンスとなりました。

基本方針では、女性の身体的、精神的な問題、健康問題などを包括し、これまで個々に解決しなければならなかった課題を社会全体で捉えるべきだと提唱しています。フェムテックが取り組む問題については、経済的にも大きな損失が生じているとのデータが報告されています。」

「昨年10月20日から22日まで、東京ビッグサイトにて第1回フェムテック東京展示会が開催され、私たちも参加しました。出展者は180社以上と大規模なイベントで、参加者の多さから、人々がフェムテックに注目していることを強く感じました。

私たちは特に働く女性のニーズに注目し、私たちの製品、ワークパンツを紹介しました。多くの方々が来てくださり、そのほとんどが女性で、総務や人事の担当者から多くの問題や課題を聞くことができました。私たちのブースに来たエネオスの方は大きな課題を抱えており、展示会終了後にサンプルの製造を依頼してくれました。現在はエネオスの女性社員が当社製品をモニタリングしています。

この展示会を通じて、私は一人の女性として感じていた問題が、社会全体の問題であることを実感しました。そして、多くの方々から様々な要望を聞くことができ、それを製品に反映させるためには、パンツだけでなく、インナーウェアを開発することも必要だと感じました。そのアイデアをフェムテックチームに提案したところ、開発の可能性があるとの回答を得られ、新たな製品開発に取り組むこととなりました。

製品開発にあたっては、縫製会社のエムズさんや、多くの商品開発や展示会出展の経験を持つマレットさんからアドバイスを得ました。また、大阪信用金庫さんからの支援も受け、知的財産の保護にも取り組んでいます。

フェムテックの市場規模は2025年には日本で2兆円産業になると予測されています。女性の働き方や生活スタイルが変化し、社会の意識が変わりつつあります。この変化は企業にとっても、働く女性にとってもプラスとなり、福利厚生として導入する企業も増えています。例えば、ユニクロなどの大企業はすでにフェムテック製品を取り扱っています。

私たちの製品は、特に現場で働く女性を対象としています。そのため、生理中の漏れやストレスが集中力を低下させる問題に焦点を当てています。実際、経済産業省の2019年の調査によると、これらの問題による損失は年間4911億円にも上るとされています。これらの問題に対処することは、社会全体の発展につながります。

一方で、各企業が女性の活躍を推進するチームを設置しているものの、具体的な施策が現場の女性にまで浸透するのは困難だと感じています。」


「女性が現場で働くことは、彼女たちが企業の根幹を成す商品や製品を作る存在であるため、その働きやすさを追求することは、必ずしも企業にとってプラスとなります。私たちのフェアリーキャッチの導入だけでなく、ワークショップなどを通じて、各女性が自分自身の価値を見つける活動を一緒に広げていきたいと思っています。

これは、これまでの数々のヒアリング経験を生かし、私たちの会社でも強みと弱みを認識し、互いに補い合う環境を作ることに努めてきました。毎月定期的にミーティングを開催し、その開始以来、各スタッフが自分の強みを自主的に活用し始めました。

私たちは小さな会社で、主要メンバーは3人、私を含めて4人です。しかし、スタッフのKさんはイラストや手書きの文字が得意で、カラーの知識もあります。スタッフのAさんはデータ作成や目標管理が得意で、スタッフのYさんはミシンの縫製が得意です。これらの特技を活用して、互いに協力して仕事を進めています。

特にKさんの例を挙げると、彼女は最初は人材派遣で私たちの会社に来ましたが、今では正社員として働いています。彼女は、自分の役割は限られた時間で決められたことをすることだと考えて働いていましたが、私たちの会社に来てからは、自分の強みを自覚し、それを活用して企業に貢献する方法を探し、さらには社会全体にプラスになる方法を考えるようになりました。

特にコロナが始まり、社会全体が暗くなり、私たちの顧客である飲食業の方々が特に困難な状況に立たされた時、Kさんは休日に手書きのニュースを作成し、それを顧客に提供することで、少しでも明るい気持ちになってもらえないかと考えてくれました。それは、Kさんの働き方がただ働くだけではなく、自分の強みを生かし、自分の価値を自覚し、それを社会に役立てるようになった結果です。

女性が自分の強みを活かし、自分の価値を自覚し、それを社会に役立てることができる環境が増えていけば、企業にとっても、そして女性にとってもプラスとなるはずです。私たちは、フェムテックという観点から、現場で働く女性のためになるような取り組みを広げていきたいと思っています。私たちの想いに共感していただける方がいらっしゃいましたら、企業様をご紹介いただいたり、商品をご購入いただいたりすることで、この取り組みを広めていただければと思います。本日はご清聴いただきまして、ありがとうございました。