真善美の再生:エアー鉋技術の事業展開 (株)姫宮実業

2023年10月17日(一社)OSKグローバルビジネス・プロモーションでは(株)姫宮実業の清水まゆ美代表取締役をお招きし、同社のエアー鉋ビジネスについて、セミナー&プレゼンを行いました。

以下は、同女史の報告です。

なお、年末のNHK「有吉のお金発見 突撃!カネオくん」の最後の場面で
紹介された優れた技術と応用です。

NHK放送動画は次のURLからご覧ください。
https://drive.google.com/file/d/1LN1fh60QuwV7deeVi1X8CwNl5ibJkj2w/view?usp=sharing

当日の様子は動画をご覧ください。→https://youtu.be/u5zjKAM2UPc

姫宮実業のweb URL → http://www.himemiya-works.com/

私のキャリアですが、外国語大学を出てから外資系の企業で勤務し、役員も経験しました。その後、地元に戻り、創業した会社が株式会社P.F.Bフォンテーヌブローです。ここはアロマ製品、ジュエリー、インテリア雑貨などの美しい物を輸入、輸出することを目論んで会社を立ち上げました。

なぜフォンテーヌブローという名前かと申しますと、私がビジネス、マーケティングの世界に足を踏み入れてから、フランスの大学院であるフォンテーヌブローでサマースクールやウィンターコースでビジネスを学びました。このフォンテーヌブローのお城から名前を取り、株式会社P.F.B.フォンテーヌ・ブローを設立致しました。そこでご縁があり、今からお話しするエアー鉋のライセンスを購入致しました。

エアー鉋とは、後でゆっくりご説明いたしますが、エアー鉋とは、薔薇(アロマ)とは異なり工事系の仕事です。全く薔薇と工事は一致しません。しかも、これからお話しするターゲットのお客様には絶対に会社の名前を覚えていただけないと思い、担当する部門、常若事業部を別会社としてスタートさせました。

その独立させた別会社が、株式会社姫宮実業です。そこに至るまでに福喜建設株式会社という宮大工の会社と技術提携をし、さらにお仏壇の浜屋(浜屋株式会社)と業務提携をし、形が整った段階で姫宮実業を設立し、四期目を終えました。

ここに至るまでに、私たちは様々なSWOT分析を行いました。私たちの強み、弱み、機会、そして時代として起こり得るものを徹底的に分析しました。そして見つけた答えは、強みを伸ばし、弱みを強みや機会で克服し、中長期的展望、短期的目標、具体的なアクションに至る道筋を立てることでした。最終的に「いつかは文化財で施工しよう」という目標に着地しました。

目標が決定した後、具体的な計画を立てました。私たちの強みは、滋賀県のベンチャー企業が開発したエアー鉋という技術で、これは木材だけでなく、鉄や石など様々な素材に対応できます。全国に35社のライセンスを持つ企業がありますが、私たちのように宮大工が施工を行っているのは私たちだけです。この独自性を最大限に活かし、特に神社仏閣などの歴史的建造物にフォーカスしました。通常のエアー鉋事業は一般住宅から始めることが多いですが、私たちは国宝文化財を目標に設定し、神社仏閣の分野からスタートしました。

まずは「road to heritage」というコンセプトのもと、実績作りと認知力強化、技術力向上を目指しました。ただ、それだけでは市場が限られるため、中期的展望として一般住宅の仕事も手がけつつ、まだ知らない市場を探る「need to study」戦略を立てました。この二刀流でビジネスをスタートしました。

おかげさまで初年度は見積もり案件が8件、受注したのが4件でした。その後、多くの方のご協力を得て、ビジネスパートナーも広がり、四期目には見積もり件数が約100件に達し、受注件数も増加しました。ここまでくるのには、技術力だけでなく、会社のコアとして私と後ほど登場する妹が2人で取り組んでいます。」

そのコアの部分がある一方で、営業をどのように進めるかという問いに対して、お仏壇の浜屋様から力添えをいただきました。これは、浜屋様がお寺に関して最も詳しいからです。そして、浜屋様でのプレゼンテーション時に、浜屋様が「現在のお寺やお墓の問題に対して最適な技術ではないか」との見解を示し、賛同をいただきました。現在は全国で営業展開を行っています。この営業を受けた案件は、技術部隊である宮大工の部隊が対応しており、このビジネスモデルが完成しました。

ここからはエアー鉋の技術について紹介します。例えば、木材の劣化した部分をピーリングするような状態です。細かい木の実や木の破片を細かく分解して作られたパウダーを空気の圧力で建物に吹き付け、劣化した部分や雨シミ、腐食部分をミクロン単位で削り取ります。そして、ほぼ100歳の木肌を20歳にまで戻すような効果をもたらします。作業中は音と埃が多いですが、木で木を削るという木部再生の新技術として評価されています。異質なものを使わず、同じ物質を用いることで輝きが出ます。この技術は特許を取得しています。

機材については、中心にあるのがエアー鉋のタンクです。動力コンプレッサーを用いて、ドライにした空気と植物性粉体をタンク内で混合し、エアー鉋専用ガンで送り出します。これにより、木材をミクロン単位で削ることができます。例えば、百年以上前の彫刻にも適用でき、従来の方法では不可能だった細かな部分まで対応できます。

この技術は、木材だけでなく、鉄錆を落とすのにも適用でき、姫路城の大手門のような史跡にも使用されています。

この技術の応用例としては、日焼けした木材や太鼓の塗装の修復などがあります。これまで時間がかかっていた作業を大幅に短縮し、効率化を図っています。また、新築時の美しさを取り戻すというニーズにも応え、築20年の建物を新築のように蘇らせることができます。このように、エアー鉋技術は様々な用途に適応し、多くのニーズに応えることが可能です。」

エアー鉋を採用するメリットについてですが、例えば20年前に5000万円で新築した山門を挙げることができます。50年後には建て替えの際の費用が一桁増える可能性があります。

これは、素材の値上がりや人件費の上昇、さらに宮大工などの技術者不足などが原因です。メンテナンスを怠ると未来に対して負債を抱えることになりますが、エアー鉋を使用すると、再生や完成のコストは150万円から300万円となり、大幅なコスト削減が可能です。また、この塗料は約4~5年に一度塗り直す必要がありますが、そのメンテナンスコストも長期的に見れば割安です。したがって、既存の建物を甦らせ、次世代に引き継ぐという考え方で、この技術を推奨しています。

ここからは実例を紹介します。国宝級の施設にも展開しており、例えば2020年に北野天満宮の拝殿の廊下の工事を行いました。これは緊急事態宣言直前に完成しました。また、鹿児島の鶴丸城の御楼門や西宮の門戸厄神の延命魂なども手掛けました。こちらでは、エアー鉋を使用して劣化した部分を修復し、新たな塗装を施しました。

四国松山市で行った山門の修復も例の一つです。こちらでは、エアー鉋だけでなく、大工作業も併用して、建付けや金具の修復を行い、新築に近い状態に戻しました。本堂や細かい彫刻、お賽銭箱などの修復も行っており、劣化した部分を削り取り、必要に応じて色付けや文字入れを行いました。

この技術は木材だけでなく、石材にも対応可能です。門戸厄神の延命魂周辺にある祈願カエルの修復にもエアー鉋を用いました。

以上が、エアー鉋を用いた工事の実例とそのメリットについての説明です。

エアー鉋の派生技術として、エアー鉋ミストがあります。この技術は、お寺の中にある金箔や飾り金具を綺麗にするのに適しています。

エアー鉋で微細なミストを吹き付ける手法で、これは姫宮独自の技術です。汚れを落とすことで金色に戻り、美しさを取り戻します。この技術はエアー鉋よりも先に導入されましたが、適切な職人の不足が課題でした。金箔の張り替えは金の価格高騰のため負担が大きいですが、エアー鉋ミストではお線香やろうそくの煤を安全な液体で落とします。

大きな仏壇や飾りには大型の機械を使用し、小さな部分には改造したエアブラシを使います。この技術は、私の妹が担当しており、例えば今年の春には高野山の奥の院の護摩堂にある千体仏の清掃を行いました。大きな物には機械を、小さな部分には手作業を用いています。これにより、汚れを取り除くだけで元の輝きがよみがえります。例えば、灯籠が実際は黄色だったことが分かったり、文字が読めるようになるなどの効果があります。この技術はお寺の仏具などにも応用できます。

姫宮実業では、新しい技術やビジネスを展開しています。これまでの再生に重点を置いたエアー鉋とエアー鉋ミストの技術をさらに深掘りし、事業を拡大しようとしています。特に、文化財の美観再生事業に注力しています。金箔塗料などの新しい技術も手に入れ、開運小物などの新商品を開発しています。また、アロマ製品の開発も進めており、昨年12月にはクレー石鹸を発売しました。現在、事業の9割以上はエアー鉋とエアー鉋ミストによるものですが、新しいビジネスにも力を入れ、より発展させていきたいと考えています。これまでのビジネスは、全国のお寺や企業との繋がりによって成り立っており、これらを大切にしながら事業を拡大していく所存です。以上がエアー鉋ビジネスについての説明です。