木工業での小さなイノベーション:(株)テツヤジャパンの経験

7月16日(一社)OSKグローバルビジネス・プロモーション(GBプロ)は(株)テツヤジャパンの代表取締役木村哲也氏をお招きし、小企業におけるイノベーションについての経験を披露していただきました。

示唆的な部分があり非常に興味深いものでした。

以下、同氏の発言内容の概要を紹介します。

なお当日の状況は動画を参照ください。

 → https://youtu.be/st2Qo685J2M

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テツヤジャパンの木村哲也です。

今日のプレゼンテーションは「イノベーションの追求」というテーマです。

自分で起業して、今日まで来ましたが、その中身を振り返ってみるとイノベーションと言われるものに当てはまっているな、と思います。

5つのイノベーション

モノの本によれば、イノベーションとは、新しい考え方や技術を取り入れ、物や仕組み、サービス、組織、ビジネスモデルなどに大きな変革をもたらす取り組みを指すそうです。

イノベーションには5つの種類があるそうです。今回は私の事業や商品企画の経験を基に、マーケット、サプライチェーン、プロダクト、プロセス、オーガニゼーションにおける小さなイノベーションについてご紹介します。

まず、弊社の事業内容を説明させていただきます。弊社は、バーチ耐水合板を必要とする方々に提供し、社会や人々に貢献しています。

バーチ合板への取り組み

このバーチ耐水合板とは、白樺を薄くスライスし、それを重ね合わせた板材です。板のサイズは厚さ4ミリから30ミリまであり、耐水性が高く、美しい白色が特徴です。また、板の断面にはバームクーヘンのようなストライプ模様があり、デザインに活用することもできます。

次に、バーチ耐水合板の加工性についてですが、この材料は密度が高く、細かな加工が可能な白木で、塗装の色乗りが良いため、作り手のイメージを忠実に具現化できます。一般的なJIS合板と比べても、曲げ強度が非常に高いのが特徴です。例えば、JIS合板が12ミリの厚さで5枚の短板を重ねているのに対し、バーチ耐水合板は9枚の短板を重ねて作られているため、曲げ強度が3倍以上強いという試験結果が出ています。

弊社は、1998年に電気工事業で創業し、2008年にロシアから木材の輸入事業を開始しました。電気工事業は主に大型量販店の下請けで、アンテナ工事や家電製品の取り付けを行っていました。しかし、季節によって忙しさが変わるため、新たな事業を模索していましたが、なかなか自社の強みを生かして新しい価値を創造することができませんでした。

マーケットイノベーションへの取り組み

そのような中、2008年に新規事業として「マーケットイノベーション」に取り組みました。これまでターゲットとしていなかった新たな市場に参入し、新規顧客や新しいニーズを開拓することがマーケットイノベーションとされています。この取り組みを進める中で、私は一度白紙に戻して新たなアイデアやアプローチを生み出すことが重要だと感じました。

アンテナ工事中に事故で屋根から転落し、骨盤を骨折して半年ほど療養することになりました。

療養中に押し入れからバーチ耐水合板のサンプルを取り出し、木材屋さんに持って行きました。木材屋さんはサイズや樹脂、接着剤の種類や価格などについて詳しく質問してきましたが、私には即答できる知識がなく、質問を持ち帰り、妻にロシア語に翻訳してもらいながら対応しました。半年ほどのやり取りを経て、木材屋さんからの質問もなくなり、ついに商品の仕入れ先を紹介してもらうことができました。

しかし、商社や問屋は売れるかどうか分からない商品には手を出さないと言われ、仕方なく自社で輸入し、大量に在庫して販売することにしました。輸入後は、保管倉庫や運送会社も紹介してもらい、スムーズなサプライチェーンを構築することができました。

こうしてサプライチェーンの構築に成功し、販売を開始しましたが、売れるためには集客が重要です。そこで、ターゲットとなる業界の会社名簿を手に入れ、小さなカットサンプルやカタログ、価格表、そして手紙を送付しました。興味を持った方々から返信があり、妻と2人で全国を回って行商を行いました。問い合わせのあった業者を訪れ、商品の使い方を教えてもらいながら、販売につなげていきました。

そして、3年目からは建築や家具業界にも広がり、さらに加工サービスも取り入れることになりました。自社での加工設備を導入し、フローリングやその他の製品開発を進めていきました。これにより、プロダクトイノベーションやプロセスイノベーションを実現し、お客様のニーズに応えることができるようになりました。

さらに具体的な商品開発と技術革新について、もう少し掘り下げてお話しします。

1. プロダクトイノベーション:商品開発の成功:フローリング

弊社のフローリング製品は市場で非常に高い評価を得ています。従来のフローリングは、幅が約100ミリ、長さが1800ミリ程度のサイズが主流ですが、弊社ではこのサイズにとらわれず、幅広で長さのあるフローリングを開発しました。このフローリングは、従来の製品よりもロスが少なく、加工効率も向上しました。また、お客様の要望に応じてフリーサイズでの受注生産を可能にしたことで、ニーズに合わせた製品提供が実現しました。この取り組みは、プロダクトイノベーションの一例です。

2. プロセスイノベーション:ホームバーシステム

次に、弊社のプロセスイノベーションとして「ホームバー」というシステムをご紹介します。このシステムでは、ウェブ上でお客様が自分自身で本棚の設計を行い、そのデザインに基づいて弊社が製作を行います。お客様の手元には組み立て式の本棚の材料が届き、自宅で簡単に組み立てることができます。このシステムは、従来の業者向け販売からエンドユーザー向けにシフトし、より柔軟なサービスを提供するための画期的な取り組みです。

3. CNC機械の導入と技術革新

プロセスイノベーションを進める中で、弊社はアメリカからCNC(コンピュータ数値制御)機械を導入しました。この機械は、お客様が設計したデータを入力するだけで、自動的に木材を加工してくれる優れた設備です。このCNC機械の導入により、今まで業者向けの製品加工が中心だった弊社が、個別のお客様に合わせたカスタマイズ製品を提供できるようになり、業務の効率化とサービスの質の向上を実現しました。

4. オーガニゼーションイノベーション:組織の再編

これまでのイノベーションを実現するためには、組織の柔軟性と効率性が不可欠です。電気工事業から木材業への完全移行に伴い、弊社の組織体制も大きく変わりました。現在では、少人数で効率的に運営する体制を整え、必要に応じて外部のリソースも活用することで、時代の変化に迅速に対応できるようになりました。このような組織の改革は、オーガニゼーションイノベーションの一環として取り組んできた結果です。

5. イノベーションマインドの重要性

最後に、イノベーションを成功させるためには、マインドセットが極めて重要です。私自身、目標に向かって地道に努力を重ねることで、少しずつ未来に近づいていくことを実感しています。イノベーションは決して一夜にして成し遂げられるものではありませんが、小さな進歩を積み重ねることで、やがて大きな変革をもたらすことができます。重要なのは、その過程でマインドを保ち続けることです。

私たちはこれからも、これまでの経験を活かしつつ、新しい価値を創造するための努力を続けてまいります。未来に向けて、さらなるイノベーションを追求し続けることが、私たちの使命であり、誇りでもあります。

これで、私のプレゼンテーションを終了させていただきます。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。