女性用下着の企画~生産の一貫管理とフェムテック「ことはじめ」                       アンドール(株)代表取締役 岸村裕子

一般社団法人OSKグローバルビジネス・プロモーションでは、7月18日、一般社団法人大阪府産業支援型NPO協議会との共催で二人の女性経営者をお招きし、セミナー&プレゼン会を催しました。以下は、そのうちの一人、アンドール株式会社代表取締役、岸村裕子様の発表概要です。

当日の発表は動画をご覧ください。→https://youtu.be/GgIrT1u3iNM

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企業概要

アンドール株式会社 代表取締役の岸村 裕子です。 

私どもは兵庫県西宮市で仕事をさせて頂いております。2000年から事業を行っており、すでに24年目に入りました。

主に、OEM・ODMという得意先様に向けた商材、主にブラジャーを開発して参りました。

お取引様としては、カタログ通販大手が多くテレビ通販等もございます。

大手参入による市場の激化

最近の下着市場はなかなか厳しく、パイの取り合いになっていることは否めません。

特にユニクロさんという巨人が出てこられ、下着最大手W社をしのぐ勢いとなっています。

ユニクロさんには、皆さんご家族で行かれ、様々な年代の方が商品を購入されます。生産数量も大変多く、大手原糸メーカーと組まれて、最先端の生地をお使いになり非常にいいもの、凄いなと言うようなものをお作りになっています。

自社ブランドの強化

その影響もあり、私たちは自社ブランドで何とか起死回生の道はないかと、経済的に少し余裕のあるシニアのマーケットに向けて、商材を作りたいと考えました。

ところで私の経歴ですが、下着をやるまでは固い仕事をしていました。ネットワークコンピュータのセールス・エンジニアとして、机の下に潜って作業し、更にお客様ともお話をして機械を購入頂いておりました。

また、海外に何度か住んだことがあります。台北では中国語を学び、サンフランシスコでも少し暮らしました。

大連には当社の協力工場があり、コロナになるまでは3ヶ月に一回ぐらいは出張しておりました。

当社の日本の社員は8名で、大連にも事務所があり4名の中国人スタッフがいます。大連スタッフは全員日本語堪能なので、skypeと言うオンラインツールで話をしています。彼らの語学力は素晴らしく日本人と喋っているのと何ら変わりがありません。

業務の合理化と海外生産のために単語を統一

OEM・ODMは、お客様のご要望に沿って商品企画を立ち上げますので、デザイナーが出発点になります。

最初に「デザイン企画書」を作るのですが、当初は3人のデザイナーが各自エクセルで作成していました。

3人3様で書式も表現も違っており、例えば色ですが、紺と書く人もいればネイビーと書く人もいる。またはミッドナイトと書く人もいます。同じ色でも、それぞれに表現が違うんです。

日本人だったらネイビーとミッドナイトでもなんとなく分かりますが、中国の人には理解できません。

そこで、まず言語を統一しようということになり、全て一つのデータベースにまとめて、企画から生産、納品まで、一つのデータベース上で管理する仕組みにしました。

これは2006年ぐらいに作ったんですが、今も当社の基幹システムとして動いています。このシステムで、中小企業向けのIT関連の賞を頂いたりしました。

お客様から「なんで納期遅れがないの?」と聞かれ、このシステムを見て頂いた事も有ります。実際24年間、納期遅れはございません。それはこのシステムのおかげかなと考えています。

自社ブランド「アンプリ―ムス」の開発

冒頭で申し上げました様に、今までOEM・ODMばかりやって来たんですが、市場規模が小さくなって来るにつれ、とにかく安い物が欲しいというお客様が増えてきました。

ただ、モノづくりはそんなに単純化できるものではなく、デザインして、仕様書を書いて、サンプルを上げて、工場に渡して、工場に立ち合いに行ってと、結構手間がかかるものなんです。

でも、お客様はとにかく安いものをご希望なので、なんでこんなに頑張っているのに値段ばっかり言われるんだろう、っていうところがありました。

それで自社ブランドをなんとか大きくして利益を確保し、働いてるくれている人たちに還元して行きたい、と思う様になりました。

コロナでなかなか昇給もできない状態ですが、昇給は働く意欲になると思います。

自社ブランドは利益率が高く、OEM・ODMは半分以下なので、同じ仕事をしてもかなり違うのです。

その自社ブランドですが、「アンプリームス」という名前です。

これは、アンドールの「アン」と、ラテン語で一流という意味の「プリームス」との造語です。一流を目指そうと名付けました。

24年間やって参りましたので、ノウハウはたくさん持っています。それらを使って、毎日心地よく使って頂け、楽しく過ごして頂けるような、こだわりの詰まったワンランク上の商品を作りたいと立ち上げております。

ちなみに、アンプリ―ムスですが、日本、中国、台湾で商標登録をしております。

元気なシニアを対象とした商品

アンプリ―ムスが目指しているお客様は、シニアの方々です。

一口にシニアって申しましても、どんな方々がいるんだろうと調べてみました。これは日本SPセンターさんが2020年にまとめ上げたデータになります。

4種類に分類されており、「アクティブシニア」「ギャップシニア」、それから「ケアシニア」「ディフェンシブシニア」とされています。

先ずはアクティブシニアの皆さんですが、本当に元気な方々です。

60歳を超えていらっしゃいますが、お仕事もされ、好奇心旺盛でおしゃれなシニアさんです。

アンプリームスは、このアクティブシニアの方をメイン・ターゲットにしています。

ギャップシニアもお元気な方ですが、自分が思っている以上に体が動かなくなっている。例えば昔は3日に一回ぐらいしか腰が痛くならなかったのに、最近は毎日腰が痛くなるとか、手がここまで上がっていたのが上がらないとか。自分が思っているよりは、実際の動きにギャップがあるということです。

少し助けは必要ですが、好奇心旺盛で、どんどん旅行され、お友達とお食事など社会的なお付き合いもされて、なかなか華やかに生活をされています。

ちゃんとしたケアが必要な方はケアシニアで、要介護の方々になります。

ディフェンシブシニアと呼ばれる方々は、年金だけがキャッシュフローの源泉になり、何でも好きなものを買うわと言うよりは、やりくりして堅実に毎日をお過ごしになっています。

先ほど申し上げた通り、60歳以上の女性、子供が独立して、単身、または夫婦のみになっているアクティブシニアの方々は、生活にゆとりがあり、衣食住や趣味に「こだわり」が有る方が多いです。ご自分の価値観をお持ちで、「自分が良いと思うものが良いんだよ」っていう様に思ってらっしゃいます。

気分はすごく若いのですが、体は若い時と比べて少し衰えてくるので、そういう体調や体型の変化なんかを道具とか、ジム通いであるとか、ウォーキングであるとかサプリであるとか、そういうものを使って克服し元気に過ごそうと考えてらっしゃる傾向があります。また、一回、気に入っていただくとリピートオーダーされる方が多いのも特徴です。

シニア市場の拡大と当社の事業、商品対応絞り込み

この60歳以上のシニア市場っていうのは、今後、拡大が予想されています。

みずほコーポレート銀行の産業調査によると、2025年にはシニア市場が非常に大きくなると報告しています。医療、医薬、介護が50.2兆ぐらい。それから生活産業ですね。私たちはここに入りますが、ここは一兆円ぐらいになると言うことです。

シニアがこれからどんどん増えていくので、おのずとマーケットは広がっていくと思っています。

ところでシニアのどういう人達を指すかを社内で統一するために、2パターンのアイコンを作り、65歳のAさんとBさんを挙げました。

まずAさんは、キャリア系の65歳でバリバリお仕事をされているイメージです。社員の一人が「どうしても「渡辺えりさん」しか思い浮かばない」っていうことでアイコンは、渡辺えりさんになりました。

住んでいる場所、どんな家に住んでいて、内装がどんな感じで、どういうところでお仕事されてて、どういうお買い物をされメイクもこんな感じと色々と細かく分析して作り込んでいます。

もうひとり、Bさんは主婦の方なんですが、この方は「榊原郁恵さん」がアイコンになっています。さっきのAさんは通勤があるので、どちらかというと都心部に近いところにお住まいなんですが、Bさんは主婦なので、郊外の一戸建てにお住まいです。ガーデニングなんかが趣味で、どういうところでお洋服買ってみたいなことを一つずつ分析しています。

商品開発に困ったときは、このAさんとBさんだったらどうするかと言うふうに考えて商品を作っていきました。

吸水ショーツ「ことはじめ」

それでできたショーツが、この吸水ショーツ「ことはじめ」という商品です。

私の経験でも膀胱が若い頃に比べると、ちょっとしたことでゆるくなっていることは確かです。尿漏れっていう大げさなことでなくて、ちょっと重いものを持った時とか、くしゃみ、あくび、大笑いした時などに ちょっとだけ漏れたりする感覚があります。

このことは、榊原郁恵さんタイプの友人にも聞いてみたんですが、ぐっと力が入ったときに漏れたりすることがあるそうです。そうなると、そのことに意識が過剰になり、お友達との食事会を断る。コンサートやお芝居に行ったとき、お手洗いがものすごく混むので、我慢できるかなって心配になり、お出かけをためらうこともあるそうです。

働く女性は会議が長くなった時、途中退席できないけれど我慢できるかな、みたいな時ですね。工場勤務の方はラインの中で作業していると、今自分が抜けたら次の人に迷惑がかかるから抜けられない、でもトイレに行きたいなあ、っていうようなことが多々あるそうです。

そういう方に向けて、この吸水ショーツを作らせて頂きました。

重い感じの吸水性を強調した商品を作りたくなかったので、本当にシンプルな見た目普通のショーツにしました。

私たちは下着屋なので、ショーツとしても履き心地がよくないといけないと思っています。この年代になると締め付けが嫌ですので、ゴムは一切使わない仕様にしました。

なので、座った時にお腹の肉が乗っても食い込みにくく、ゴムを使わないけれどずれ落ちない、ショーツとしても着心地が良くて安心感もある商品になりました。

これを作るにあたって約6ヶ月間試行錯誤しました。女性の尿漏れパットを分解し、どこに何が入っているのかを確認しました。市販の尿漏れパッドには、吸水ポリマーがたくさん入っており、切るとパラパラっとちっちゃい粒が出てきます。この一粒ずつが尿を吸収して捉えるという仕組みです。吸水ポリマーは吸水後粒が大きくなり、だんだん固く重くなっていきます。洗濯したら元に戻りにくいのです。

それで吸水ポリマーを使わずに、吸水不織布を使って何回洗濯しても同じ水分量が吸水ができるようにしました。

また身生地も抗菌防臭になっていますので、ニオイもキャッチします。炭糸で編んだ生地を使い、炭の力のみで抗菌防臭する、ショーツ全体が防臭抗菌しながら尿もキャッチするものになりました。

最初、吸水パッド部分は薄いほうがいいんじゃないっていう話も出たんですけれど、薄いのは良いかもしれないけれど、ひょっとしたら漏れるかもって心配される方もいらっしゃるという事で、見た目にも安心感がある厚みにしています。

「ことはじめ」は一度テスト販売をしました。読売新聞で広告し販売した結果、気に入って頂いた方は一人で十枚買われる方がいらっしゃいました。やはり気に入って頂けると何回も買って頂けるんだな、と思っています。

当社は実はOEMで十年前から尿漏れショーツをやっています。

「骨盤底筋を圧迫することによって、尿漏れの頻度を少なくしよう」という商品を作り、十年以上前に実用新案も取っています。実用新案が切れたので、皆さん、真似されてるなあっていう感じです。

この商品は60代のシニアに利用して頂きたいんですが、ラグジュアリーなシニアの施設でも売ってみたいと考えています。ただ、これに関してはどういう風にしたらいいのかは全く分かりません。

次への展開、男性対応:オムテックヘ

「ことはじめ」を売り出した時、男性用は無いの?というお問い合わせがすごく来まして、男性にも尿漏れってあるんだと知り、男性用もやってみようかと考えています。

男性用については、以前「助っ人らん」という商品を販売したことが有ります。男性の乳首がワイシャツから透けて見えるのが気になる方に向けて、「透けない」という言い方をもじって「助っ人らん」と名づけ、好評を頂きました。そういう経験がございますので、男性用でも開発できると思っております。

今朝ネットニュースを見ましたら、フェムテックの向こうをはってオムテックというのがあるらしく、すでにたくさんの会社、それも大手のグンゼさんがクラウドファンディング「Makuake」に出品されたということでした。たった3日間で3百万円を突破するという、素晴らしい商品をお作りになっていました。

以上で当社の発表を終わらせていただきます。

ご清聴ありがとうございました。

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