
地球温暖化のせいか極端に暑い夏が続いています。その中で、OSKグローバルビジネス・プロモーション(GBプロ)では、7月にマイクロ・カプセル技術を適用して高性能の消臭・冷感スプレーを開発した(株)松井色素化学工業所技術開発部より中村達哉氏をお招きし講演をいただいた。
既存技術を活用し新商品を開発する典型的事例でありイノベーションの別の形を示唆するものでした。
概要を下記の通り報告します。
当日の講演の詳細は動画を参照ください。 →https://youtu.be/bIUiGUyWqFc
同社のホームページは→https://www.msc-color.co.jp/
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皆さん、初めまして。松井色素化学工業所の中村です。本日はよろしくお願いいたします。
<会社概要> 早速、会社概要を説明します。当社は京都に本社と工場を持ち、1923年に創業し、もうすぐ100年を迎えます。アメリカにも松井インターナショナルという兄弟会社があります。


<事業内容> 当社は色に関する事業を展開しており、繊維業界向けにプリントインクの顔料やバインダーを提供しています。主要な事業部門は、色材・プリント材料、機能性色素、そして衣料用転写紙を扱う転印の3つです。
特に環境に配慮した水性インクや、温度や光に反応する機能性色素の研究開発を進めており、サステナブルな製品を提供しています。また、小ロット生産対応の転写マークシステムも販売し、帽子やTシャツ、トートバッグなどへのプリントが可能です。
<機能性色素> 当社が力を入れている機能性色素ですが、例えば温度で色が変わる「サーモロック」や、紫外線に反応して発色する「フォトロック」、水に触れると色が変わる「アクアインジケーター」などがあります。また、香料をカプセル化する技術も開発しており、これにより香りを長時間保つことが可能です。
<転写技術>次に、転写技術についてですが、当社はTシャツのデザイン部分や、最近では直接生地にプリントされることも多くなった洗濯表示やサイズ表記用の熱転写紙を製造しておりました。現在は熱転写紙製造の経験と技術を活かし、小ロットでも簡単に転写マークが作れる「アートジェット」というシステムを提供しています。これにより、帽子やバッグなどにもプリントが可能です。
<マイクロカプセル化技術について>

次に、当社の得意技術であるマイクロカプセル化技術についてお話しします。
もともと、顔料を分散させる際に撹拌と分散の技術を用いてカプセル化していました。この技術を応用し、機能性色素を開発しました。具体的には、色素とその発色をコントロールする薬剤を1つのカプセルに封入し、数ミクロンサイズにまとめています。
このカプセルは、温度や紫外線をトリガーとして機能します。例えば、温度が上がると発色を抑える薬剤が分離し、発色する色素と結びつくことで色が現れる仕組みです。紫外線の場合、特定の波長が色素に働きかけ、色が発現します。この技術により、繰り返し色変化を楽しむことが可能です。
<マイクロカプセル化技術について>
当社技術で製造したカプセルの中身は油性となります。基本的に水と香料や精油を混ぜ合わせたいとなった際、水と油なので混ざりません。混ぜる際には界面活性剤が必要となるのですが、当社の技術で作られたものは油性のものをカプセル化した水性の分散体となりますので、界面活性剤無しで水に安定して混ぜる事が出来ます。
<アロマグラニュール技術について>

それでは、当社のアロマグラニュール技術についてお話しします。これは香りをカプセルに閉じ込める技術で、持続性や消臭効果を高めます。ノンホルマリンで、安全性を向上させました。
さらに、当社では他社が難しいとする精油のカプセル化も可能です。カプセル化により、成分の安定性が向上し、水に溶けやすくなります。界面活性剤なしで水に混ぜることができ、さまざまな製品に応用可能です。これにより、香料や精油をより効果的に活用できるようになりました。
また、この技術は液体だけでなく粉体の成分にも適用でき、紛体を分散させた油性液体をカプセル化することで長期間安定した効果を発揮します。さらに、水に触れると変質しやすい物質でも、カプセル化によって水の影響を受けにくくすることができます。
香料だけではなく機能薬剤や精油等もカプセル化可能で、OEMも対応しております。
例えば自社でブランド香料もしくは自社のブランドの香りイメージをお持ちのお客様に対して、お持ちの香料のカプセル化にトライする事も可能ですし、香りのイメージをお伝えただければ当社の協力企業様に調香いただいた香料でのカプセル化も可能です。それを、例えばブックカバーだとか、化粧品だとかクリームとかに混ぜ込んだりだとか、絵の具のインクに混ぜ込んでご使用いただく事もできます。

では、左上のグラフをご覧ください。こちらはカプセル化した香料(青い線)と、カプセル化していない香料(オレンジの線)の香りの持続性を比較したものです。ご覧のとおり、カプセル化していない香料は1週間も経たずに香りが飛んでしまいますが、カプセル化した香料は4週間、場合によっては1年近く香りが持続します。この違いは非常に大きく、カプセル化の効果を実感いただけるかと思います。
下のグラフでは、精油の持続性を示しています。通常の精油は揮発しやすく、すぐに香りが失われますが、当社のカプセル化技術を用いることで、長時間にわたって香りを保つことが可能になります。カプセルは外部の力で壊れると中の成分を放出し、香りやその他の効果を発揮します。
この技術の応用範囲は広く、香りだけでなく、消臭成分や冷感を与えるメントールなどもカプセル化できます。また、油性成分を界面活性剤なしで水に混ぜることができるため、さまざまな製品への展開が期待できます。さらに、自社ブランドの香料をカプセル化し、ブックカバーや化粧品、絵の具のインクなど、幅広い製品に組み込むことも可能です。
次に、消臭スプレーと冷感スプレーについてお話しします。当社の「デオドラマ」は、ユーカリ精油のマイクロカプセル化によって、既存の消臭剤よりも高い効果と持続性を実現しています。ユーカリ精油に含まれる18シネオールが、悪臭成分を分解・中和し、根本から消臭します。また、カプセル化によって揮発や酸化から精油を守り、任意のタイミングで効果を発揮できます。


従来の消臭剤は、悪臭成分を吸着したりマスキングするだけで、根本的な解決にはなりません。しかし、当社の製品は、ユーカリ精油が悪臭成分と化学反応を起こし、臭いを消す仕組みです。この技術は、枕や靴、カーシートなどにも使え、長時間消臭効果が続きます。さらに、使用するたびにカプセルが割れて新たな消臭効果が得られるため、持続的に効果を感じられるのが特徴です。
例えば、剣道部で使われた際には、防具に残る汗の臭いを分解し、稽古中にもカプセルが割れて消臭されるため、部室の臭いが大幅に軽減されたと報告されています。このように、様々な場面で高い効果を発揮する自信があります。
さらに、「デオドラマ」は家庭内でも大変効果的です。例えば、リビングやペットがいる部屋、または加齢臭が気になる枕などにも使えます。実際に使用された方々からは、リビングの匂いが軽減され、家族で過ごす時間がより快適になったとの声が多く寄せられています。また、加齢臭が気になっていた枕も、デオドラマのおかげでぐっすり眠れるようになったという報告もありました。
さらに、車内での使用例では、特に夏場やタバコの臭いが染みついたカーシートに効果的です。カプセルが車に乗るたびに割れ、消臭効果を発揮するため、営業車などの長時間使用でも臭いが改善されるとのお声をいただいています。



このように、「デオドラマ」は家庭から車内、スポーツ用品まで幅広く活用でき、持続的に臭いを除去できる点が大きな特徴です。今後も、この製品を通じて、皆さまの日常生活をより快適にするお手伝いができればと考えています。
また、「デオドラマ」はカーペットなどの布製品にも非常に効果的です。例えば、カーペットにスプレーしておくと、歩くたびにカプセルが割れて中の成分が放出され、継続的に消臭効果を発揮します。さらに、空間自体の消臭も可能で、揮発した成分が上昇し、部屋全体の臭いを軽減します。
実際に使われたお客様からは、ペットのいる家庭での臭い問題が解決したり、車酔いが軽減されたとの声もいただいています。また、剣道部での使用例では、防具の中にこもる臭いが大幅に軽減され、稽古中にカプセルが割れて効果を発揮するため、部室全体の空気が改善されたと評価されています。
このように、「デオドラマ」はさまざまなシーンで高い消臭効果を発揮し、日々の生活をより快適にする製品です。今後もさらに改良を重ね、皆さまに喜んでいただける製品を提供してまいります。
もう1つの製品「デオクール」についてご紹介します。こちらもカプセル化技術を活用したもので、ユーカリ繊維とメントールをカプセルに閉じ込めています。特に夏場の現場作業に最適で、作業服メーカー様で取り扱いいただいています。
作業服には背中に扇風機がついた空調服がありますが、外気温が高いと生ぬるい風しか流れず、涼しさを感じにくいことがあります。しかし、「デオクール」にはメントールが含まれているため、風が当たる部分が非常に冷たく感じられます。さらに、汗をかいた際に生じる汗臭もユーカリ精油で消臭でき、快適さが向上します。
この製品は、生ゴミのゴミ箱など臭いが気になる場所にも使用できるので、ぜひサンプルボトルでお試しいただければと思います。