ビジネス継承と第2創業:ファッションブーツとダンボールベッド (株)keikaコーポレーション

一般社団法人OSKグローバルビジネス・プロモーション(GBプロ)では、隔月に先駆的な活動を行っている中小企業のかたをお招きし、お話しをいただいています。

今回は神戸市長田にあるファッションブーツメーカーの株式会社keikaコーポレーションの山本景化社長に発表をいただきました。同社は既存ビジネスに工夫を加え世界に販路を求める一方、社内での第2創業としてイノベイティブなダンボールベッドの開発と販売を行っておられます。

以下は発表いただいた概要です。

当日の発表動画は→https://youtu.be/32VG5-mOoNY

同社のwebは次の通りです。

ニットブーツ https://www.keika.ne.jp/

ダンボールベッドhttps://hiraite-pon.com/

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株式会社keikaコーポレーションの山本です。本日はよろしくお願いいたします。座らせていただきます。

本日は、ファッションブーツと、弊社で第2の創業と位置付けているダンボールベッドについてお話できたらと思います。

まず、弊社の会社概要ですが、2005年5月に創業いたしました。


シームレスニットブーツの開発経緯

弊社はまず靴の方で事業を進めており、シームレスニットブーツを開発しております。私は約40年以上、靴業界に携わり、靴作りをしてきました。8年間靴会社に勤務しながら様々な靴を製作しましたが、さらに高みを目指したいと思い、東京の革靴メーカーにも就職しました。東京では約6年間、革靴の知識を深めました。

その後、神戸の震災を機に東京から神戸に戻ってきました。東京で携わっていたお客様に、神戸で革靴、良い靴を作れないかと提案したのですが、神戸でこのような良い靴が安価に作れるのかと思っていたにも関わらず、商談には繋がりませんでした。なぜだろうと考えた時に、既存のメーカーさんと同じような商品を作っても仕方がない、やはり他社とは違うものを作っていかないといけない、と感じました。

そんな中、当時のニュースステーションの番組で「ホールガーメント」という島精機さんの編み機の紹介を目にしました。通常、服は前、後ろ、袖を縫い合わせて立体にしますが、このシームレスのホールガーメントという機械は、そのまま立体で編み上がってくる編み機なのです。これを見た時に、これでシームレスのニットブーツが作れないかと思い、編み機メーカーのアポを取り、連絡して、実際にこのような靴を作りたいと話を進めていきました。

ただ、この編み機はデータで編んでいくので、靴は今までメーカーが作ったことがなく、靴のデータが全くありませんでした。そのため、そのデータ作りから、メーカーさんと一緒に作っていくようにしました。


開発の苦労と改善

最初にその編み機でできた編み地ですが、一番最初にできた靴は、編み上がった靴が象でも履けるくらいの大きな編み地になってしまい、これではいけないということで、約1年かけてようやく形にすることができました。

ただし、最初に使った糸は細い糸でロングブーツを製作したため、工賃が非常に高くつきました。編み機は1台約2,000万円もします。その編み機で1足編むのに約1時間以上かかってしまうため、工賃が5,000円以上かかってくるのです。靴の場合はそれに加えて、中底、本底、ヒール、さらに縫製や木型など様々なものが必要になるため、ものすごく高価になってしまいます。結果として、卸売業者に卸して小売価格になると、10万円以上に値段が跳ね上がってしまいました。

これではなかなか売れないということで、最初は自社サイトだけで、3万円程度の価格を付けて販売していました。しかし、ブランド力がないため、ネットでの販売にもなかなか繋がりませんでした。

それでコストを下げるため、ニットブーツは靴下に似ていることから、靴下屋さんで編むことはできないかと考え、奈良の靴下屋さんに行って実際に編んでもらったりしました。しかし、結局靴下は底まで全て繋がっています。靴の場合は木型に合わせて釣り込んでいくため、底が逆に邪魔になって釣り込めませんでした。そのような問題があり、これではできないと再度ホールガーメントのメーカーさんのところに戻るようになりました。

そして、ロング丈で細い糸を使っていたのでは駄目だと考えました。時間を短縮するには、少し糸を太くすることで短縮できるのではないか。そしてもう一つ、ショートブーツにすることで、さらに時間短縮でき、工賃を安くできるのではないかということで、ショートブーツも作るようにしました。


ニットブーツの特徴

ニットブーツの特徴としては、お客様から「ニットブーツってどういうものですか?雨の日は履けないですよね?」とよく言われました。これはまずいと思い、ニットブーツに撥水加工を施すことにしました。実際にコーヒーをこぼしたニットででも、すぐに水を弾きます。そして、ティッシュで拭くとシミにもなりません。これにより、普通の運動靴よりも汚れにくく、雨の日にも安心して履けるニットブーツができました。

また、ホールガーメントの特徴としては、通常、ファーと下の部分を重ねて縫い合わせます。ホールガーメントは、その糸の先端と本体の糸の先端を合わせて縫い合わせていくので、段差ができません。そのまま繋がって縫うため段差ができないのです。そのため、ホールガーメントはごわつきがなく、シルエットがきれいということで、アパレル業界では注目されています。

実際に購入いただいたお客様からは、「軽くてしゃがめる、このブーツは走れる」という声も聞いております。靴は足に直接触れるものであり、履き心地が非常に重要です。見た目も大事ですが、履いてみて足が痛くなると、すぐに下駄箱にしまわれてしまいます。そのため、私は見た目だけでなく、足入れを重視し、オリジナルのカップインソールも作って、快適な靴にしております。

購入いただいたお客様のリピーター率は非常に高く、実際に10足以上購入してくださっているお客様もいらっしゃいます。この靴はウールで作っていますので、やはり履くと温かいのです。そのため、「冬にこの靴を履くと、もう他の靴は履けない」というくらい、皆様に喜んで履いていただいています。色違いで購入してくださるお客様も何人もいらっしゃいますので、これからもそのようなお客様を増やしていきたいと思っております。


コラボレーションとブランド戦略

ハローキティともコラボレーションしました。これを広げていくことによって、もっと多くの方に買ってもらいたいと考えています。ハローキティのブーツを空港などに置いてもらえれば、海外の方にも注目され、購入してもらえるのではないかということで、ハローキティとコラボレーションしております。

目指すブランド像としては、「ニットブーツと言えば計画」と認識してもらえるように、事業を進めております。そのため、OEMの依頼はできるだけお断りし、自社ブランドでニットブーツを展開しております。


ダンボールベッド事業について

開発のきっかけ

次に、靴メーカーが考えた約1分で組み立てるダンボールベッドについてです。

「靴屋がなぜダンボールベッドなのか?」と思われるかもしれません。2018年の西日本豪雨の際、ニュースで避難所の映像が流れました。そこでダンボールでパーテーションを作っている映像が流れたのです。

神戸の阪神淡路大震災の時でも、皆がダンボールで間仕切りを作り、プライベートを守っていたという話を聞いていたので、神戸でもこのようなことがあったなと思った時に閃いたのが、「飛び出す絵本」でした。飛び出す絵本は、本を広げると立体のお城が出てきます。このパーテーション、壁を広げ、立体的なベッドができたら、という発想で、紙で試作し、できそうだとわかりました。

そして、弊社は靴屋なのでダンボールがたくさんあります。小さなダンボールを糊でくっつけ、大きなダンボールを加工して糊をつけ、実際にやってみたところ、これができる!面白いものができたな、と思いました。その時まで私はダンボールベッドの存在を知らなかったので、パソコンで「ダンボールベッド」と検索してみました。すると、組み立てが困難なダンボールベッドが全国200以上の市町村と協定を結んでいることがわかりました。「こんな組み立てできないダンボールベッドが出回っているのはまずい」と感じ、商品化を進めることにしました。


避難所の現状とダンボールベッドの必要性

実際の避難所でどのような状況になるかというと、まず阪神淡路大震災の時は、場所取りから始まります。そして、自衛隊がなかなか来なかったり、床に直に寝る状況でした。トイレ、キッチン、ベッドといった環境もない状態でした。

ダンボールベッドがどのような場面で役立つかというと、このようなことです。避難所では、自分たちですぐに組み立てることができ、プライバシーを確保し、ストレスを改善し、女性の人権を保護することができます。また、仕切りが倒れることがなく、安全です。


他社ダンボールベッドとの比較

他社とのダンボールベッドの比較をお見せします。

まず、組み立て時間ですが、弊社の「開いてポン」は約1分です。競合A社は3分、B社は15分です。このB社は先ほど申し上げた200以上の市町村と協定を結んでいる会社です。

強度ですが、耐荷重500kg、150kg、500kgとなっていますが、どのダンボールベッドも実際にものすごい強度があります。これは控えめに記載しているのですが、弊社は平面で押さえるテストをすると4トンまで持ちました。

パーテーションですが、弊社はパーテーションが一体化になっています。A社、B社もパーテーションはありますが、別売りになっています。

パーツの数ですが、弊社は8個です。A社は12個で、B社は56個です。このベッドを実際に段ボールベッドとして提供された時に、初めて56個のパーツを見て組み立てができるでしょうか?私はこれを見た時に商品化を進めることにしました。

収納スペースは、弊社は二重丸、B社は三角となっています。弊社のダンボールベッドは簡単に物を取り出すことができますので、二重丸にしています。一方、B社は24個の箱に蓋をして、その上に段ボールを一旦置いているため、物を出し入れするのにいちいち箱を開けていかなければなりません。そのため、出し入れがしにくいということで三角にしています。

構造ですが、弊社はパーツの差し込み型、A社もパーツの差し込み型、B社は箱並べ型です。先ほども申し上げたように、箱を24個並べます。

安全性ですが、弊社は丸、A社とB社は三角となっています。A社とB社は土台を作った上にダンボールを一旦置いているだけなので、端に座った時にダンボールが持ち上がって尻餅をついたりすることがあります。これは私が展示会でよく聞いているので、安全性には少し問題があると考えています。

プライバシーを守るパーテーションですが、それはA社もB社も別売りです。基本的には直置きしているだけなので倒れてしまいます。ガムテープで固定している映像を見たこともあります。プライバシー保護に関しては、A社、B社はカーテンが別売りです。弊社はそれに加えてカーテンカバーを付けることによって、寝るスペースだけでプライベートが守れます。


組み立て

弊社のものは他社と違い、接着していますので、外れることはありません。一方、右側の部分ですが、土台の上に置いているだけなので、あのような状態だと尻餅をついたりします。そういう意味で、安全性は保てていないのかなと思っています。


「開いてポン」の特長と詳細

「開いてポン」の特長ですが、まずパーツが少なく、1つの箱に全てのセットが入っております。組み立てが簡単で、女性や子供でも簡単に組み立てられます。パーテーションが本体と一体化になっているので、ずれたり倒れることもなく、安全です。繰り返し使用できますので、片付けも簡単です。よく「防災訓練に最適だ」という声も聞いております。太田教授の検証も受けております。

「開いてポン」の説明ですが、1つの箱に本体1個、そしてパーツが7つ、これが全てその1つの箱に入っております。

組み立て方ですが、広げる、差し込む、床板を倒す、この3ステップで簡単に出来上がります。

「開いてポン」の各部の説明ですが、パーテーションの高さは110cmあります。床板の下は収納スペースになりますので、蓋を開けるだけで物を取り出したりしまったりできます。床の高さは34cmです。一般的に30cm以上あった方が埃が舞いにくく、衛生的にも良いと医学界では言われているようです。

部分へのこだわりですが、組み立てる時に床板が倒れないようにストッパーで固定する工夫をしています。寝るスペースの寸法は180cm確保しています。背の高い人のために、足が抜けるように窓を作っていますので、多少背の高い人でも大丈夫です。先ほども申し上げたように、床下全てが収納スペースになりますので、2リットルのペットボトルを立てて収納できる高さに設定しております。

梱包ですが、梱包を開ける際に蓋をめくって丸めることによって、枕代わりに使えることも想定しております。

他にオプションですが、左側は落下防止棒です。寝返りで落ちてしまうという声もよく聞きますので、それを防止するために落下防止棒もあります。また、先ほども申し上げましたカーテンカバーを付けることによって、寝るスペースだけでもプライベートを確保できます。

今、ワンタッチで広がるテントがよくテレビで紹介されていますが、広げるのは簡単に広げられますが、実際大きな災害が起きた時に、あのような状態では多分スペースを確保できません。さらに、広げるのは簡単ですが、畳むのがものすごく大変です。そのため、終わった後の片付けも大変なのではないかと思っております。

その点、このカーテンカバー付きであれば、寝るスペースだけでも完全にプライベートを確保できますので、避難所には良いのではないかと思っております。


これで説明を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。


今後の展望と実績

(以下、質疑応答・補足)

GBプロよりの補足

今回の万博に関連して、イタリア館からコラボレーションできないかという話があり、GBプロからkeika様を紹介しました。イタリア大使館が今年で2年目になる、イタリアの中小企業、特にモードに関するブースが50社ほど来ているイベントが渋谷で開催されており、同社が招待されました。共同ブランドのようなことができないかという話が進みつつあります。このように、機会を貪欲に活かして、万博の機会を活かして事業に取り組んでいるということを、GBプロの方から別の形で紹介させていただきました。


ダンボールベッドの販売実績

ダンボールベッドはどれくらい実績が出ていますか?

今のところ、5,000個近くは出荷しました。実際、今年3月に四国で100個、高知県ですね、それと埼玉県で600個、尼崎で100個出荷しました。現在、徳島県で400個、カーテンカバー付きで注文が入っています。今、茨城県で800個の話が来ており、先ほど万博の話も少し出ましたが、万博の救護室にも置いてもらっています。


今後の展開と企業への備蓄提案

新しい商材なので、様々な点で苦労されていると思いますが、ここにいらっしゃる皆様に、様々なインターフェースやマッチングをされていますので、その点からお願いがあります。

昨年も名古屋の方で展示会を開催したのですが、他社の方にも来ていただいて好評でした。やはり今は企業さんも、大きな地震があった時に社員を待機させるための備蓄ということで、企業もかなり注目しています。実際に、大阪東部や東京の三井不動産日本橋ビルにも置いてもらっています。

そういった意味では、企業さんも、今後避難所になるような場所や政府指定の避難所などには、ダンボールベッドだけでなく、水や食料などは恐らく備蓄していると思いますが、まだダンボールベッドは置いていないことが多いです。やはりダンボールベッドも備蓄しておいた方が良いのではないかと思っております。

ある工場からは「4,000個ならどのくらいの値段になりますか?」という問い合わせが来るくらい、卸売価格でもまとまった数で注文が来ています。これほど企業さんも防災意識を持ち始めているのかなと感じています。