一般社団法人OSKグローバルビジネス・プロモーション(GBプロ)では、隔月に便利な商品を紹介しています。

今回はアクア株式会社代表取締役芦田 康治氏をお招きし「スマートロック」について発表をいただきました。
アクア株式会社WEB https://spacedesign.co.jp/company
当日の動画 https://youtu.be/mOmr7mmud0E
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改めて注目される「スマートロック」が変える鍵の常識

私たちは毎日のように「鍵」を使っています。
家を出るときに鍵を閉め、帰宅すれば鍵を開ける。あまりにも当たり前の行為なので、「鍵そのものをもっと便利にできないだろうか」と考える機会は、それほど多くないかもしれません。
しかし、スマートフォンが普及し、離れて暮らす家族との連絡も、買い物も、銀行取引も、さまざまなことがデジタル化された現在、玄関だけは昔と同じように金属製の鍵を取り出して開け閉めしている——。
考えてみると、少し不思議な光景でもあります。
今回のプレゼンでは、約12年前からスマートロックに関わってきた芦田社長から、スマートロックの仕組みと可能性、そして家庭や企業でどのように活用できるのかについて紹介がありました。
テーマは、単なる「便利な鍵」の話ではありません。
高齢者の見守り、離れて暮らす家族、介護や清掃、宅配、企業の鍵管理など、私たちの暮らしや仕事のさまざまな場面に関わる話です。
第1章 12年前には早すぎたスマートロック
芦田社長の会社は、もともと次亜塩素酸ナトリウムなどを扱い、防災に関連する事業にも携わってきました。
その延長線上でスマートロックを扱うようになったのですが、実は芦田社長自身は約12年前、2014年頃にはすでにスマートロックに関わっていました。
当時すでに、指紋認証、カード認証、パスワード認証といった技術は存在していました。
現在なら当たり前になったスマートフォンとの連携という考え方も、少しずつ登場し始めていました。
しかし、当時はまだスマートフォンそのものが普及途上でした。
携帯電話といえば、いわゆる「ガラケー」を使っている人が多かった時代です。
そのため、スマートロックという発想自体が一般家庭にはなかなか浸透しませんでした。
利用されるのは、むしろ企業が中心でした。
倉庫の入退室管理や、厳重な管理が必要な場所など、セキュリティを重視する施設で指紋認証やカード認証が使われていました。
ところが、それから約12年。
社会の環境は大きく変わりました。
いまやスマートフォンは特別な機器ではありません。
LINEで家族と連絡し、スマートフォンで写真を撮り、銀行振込を行い、買い物をし、電車にも乗る。
これほど生活のデジタル化が進んだにもかかわらず、家の玄関では昔ながらの鍵を差し込み、「ガチャッ」と回している家庭がまだ圧倒的に多いのです。
そこで改めて考えてみたいのが、
「そろそろ鍵も変わっていいのではないか」
ということです。
第2章 なぜ「物理鍵」はなくならないのか
では、これほど便利な技術があるにもかかわらず、なぜスマートロックは一般家庭に広く普及してこなかったのでしょうか。
その理由の一つは、長年使ってきた物理鍵に対する「安心感」だと考えられます。
鍵穴に鍵を差し込み、自分の手で回す。
「カチャッ」と音がする。
そして、
「ちゃんと閉まった」
と確認する。
この行為を私たちは長年繰り返してきました。
そのため、
「電気で動く鍵で本当に大丈夫なのか」
「電池が切れたらどうするのか」
「スマートフォンが必要なのではないか」
「アプリの操作が難しいのではないか」
といった不安が生まれます。
一方、物理鍵にも多くの問題があります。
鍵を忘れる。
鍵をなくす。
合鍵を作られる。
誰かに鍵を貸したまま返ってこない。
退職した従業員から鍵を回収しなければならない。
清掃会社や介護事業者などに、一時的に鍵を預けなければならない。
これらはすべて、昔から存在している問題です。
特に社会環境の変化によって、「鍵を他人に渡さなければならない場面」はむしろ増えています。

高齢の親への介護サービス。
宅配。
清掃。
修理。
建物管理。
店舗への納品。
賃貸住宅の管理。
家族だけで鍵を持っていれば済む時代ではなくなってきました。
さらに、家族が離れて暮らすことも珍しくありません。
高齢の父親や母親が一人暮らしをし、子どもは遠く離れた場所で暮らしている。
こうした社会になれば、「鍵」は単に玄関を開け閉めする道具ではなくなります。
必要な人に、必要な時間だけ、必要な権限を与える。
そんな新しい鍵の考え方が必要になってきます。
第3章 「鍵をなくす」のではなく、今ある鍵を賢くする
スマートロックと聞くと、
「玄関の鍵を全部取り替えなければならないのではないか」
と思う人もいるかもしれません。
しかし、現在のスマートロックにはさまざまな方式があります。
既存のサムターンに装置を取り付け、モーターで回転させる方式。
錠前そのものを交換する方式。
そして、現在使われている錠前機構を生かしながら、電子的な認証機能を加える方式などです。
今回紹介されたシステムの特徴の一つは、既存の錠前を生かせることです。
つまり、長年使われ、信頼性が確立している錠前そのものをすべて捨ててしまうのではありません。
従来は金属製の鍵を差し込んで人間が操作していた部分を、モーターや電子認証によって動かします。
そのため、万一機器に問題が発生した場合でも、既存の錠前を生かした対応が可能です。
そして大きく変わるのが、「鍵を持つ」という考え方です。
金属製の鍵だけではなく、
・指紋
・暗証番号
・スマートフォン
・専用カード
・交通系ICカード
などを「鍵」として登録できます。

たとえば、外出先で玄関の前まで来てから、
「鍵をどこに入れたかな」
とカバンの中を探す必要がありません。
指を認証部分に置けば開けられる。
普段持ち歩いている交通系ICカードをかざして開ける。
スマートフォンで開ける。
一つの方法だけに頼るのではなく、複数の方法を登録しておくこともできます。
これは、
「鍵を一本持つ」のではなく、「自分自身や普段持っているものを鍵にする」
という発想への転換です。
第4章 遠く離れた場所から玄関を開ける
スマートロックの大きなメリットの一つが「遠隔操作」です。
たとえば、こんな場面を想像してみてください。
離れて暮らしている孫が、おじいさんやおばあさんの家を訪ねました。
ところが本人は、ちょうど買い物に出ています。
従来なら、玄関の前で帰宅を待つしかありません。
しかしスマートロックであれば、離れた場所からスマートフォンを操作し、玄関を開けることができます。
さらに便利なのが、「ワンタイムパスワード」です。
これは、一度だけ使える暗証番号や、指定した期間だけ有効になる暗証番号を発行する仕組みです。
たとえば宅配業者が荷物を届けに来たとします。
そのときだけ利用できる番号を伝える。
業者がその番号を入力して玄関を開ける。
一度使用すると、その番号は使えなくなる。
こうすれば、通常の鍵を渡す必要がありません。
「鍵を渡した相手がコピーしたらどうしよう」
「返してもらうのを忘れた」
という問題もなくなります。
清掃業者や修理業者、介護サービスなどにも同じ考え方が使えます。
重要なのは、単に玄関を開けられることではありません。
「誰に」「いつ」「どのくらいの期間」開ける権限を与えるのかを管理できることです。
物理鍵では、一度鍵を渡してしまえば、その人は基本的にいつでも開けることができます。
しかしデジタル化された鍵なら、
「今日だけ」
「この時間だけ」
「一回だけ」
という管理ができます。
ここに、従来の鍵にはない大きな価値があります。
第5章 高齢者の見守りと緊急時に役立つ「鍵」
今回のプレゼンで特に印象的だったのが、高齢者の一人暮らしとスマートロックの関係です。
芦田社長が住むマンションで、ある出来事がありました。
一人暮らしの女性と連絡が取れなくなり、救急車や消防車が駆けつけました。
ところが玄関には鍵がかかっています。
本人は室内にいる可能性が高い。
しかし、外から入ることができません。
遠く離れた家族に連絡しても、当然ながらすぐに鍵を届けることはできません。
最終的には隣の住戸側からベランダに回り、ガラスを壊すなどして室内に入ることになりました。
結果的には大事には至らなかったそうですが、これは高齢者の一人暮らしが増える社会において、決して特殊な問題ではありません。
もしスマートロックが設置され、適切な管理者や家族が解錠できる仕組みになっていれば、緊急時に家族や救急関係者などを室内に入れるための選択肢が増えます。
昔なら、
「合鍵を植木鉢の下に置いておく」
といったこともあったでしょう。
しかし、現在の防犯環境では現実的ではありません。
そこで、物理的な合鍵の代わりに、一時的な暗証番号や遠隔解錠を利用するという考え方が出てきます。
さらにスマートロックには「ログ」という機能があります。
「何時何分に鍵が開いた」
「誰の登録情報で開いた」
といった履歴を確認できます。
これは高齢者の見守りにも利用できます。
たとえば離れて暮らしている父親が、いつもの時間に外出している。
介護サービスの担当者が予定通り訪問した。
そうしたことを、鍵の開閉記録から確認できます。
ここで重要なのは、室内にカメラを設置する方法とは違うという点です。
カメラによる見守りに抵抗を感じる人は少なくありません。
「自宅の中を常に見られているのは嫌だ」
という気持ちは当然でしょう。
スマートロックなら、確認するのは基本的に玄関の出入りです。
室内の生活そのものを見るわけではありません。
そのため、
プライバシーをできるだけ守りながら、離れて暮らす家族が生活の気配を確認する。
そんな見守り方法の一つとして活用できる可能性があります。
第6章 家庭だけではない――企業の「鍵管理」を変える
スマートロックが大きな効果を発揮するのは、一般家庭だけではありません。
むしろ企業や施設では、物理鍵を管理すること自体が大きな業務になっています。
たとえばビル管理会社です。
管理する建物やテナントが増えれば、保管する鍵の数も膨大になります。
清掃業者に鍵を貸す。
納品業者に鍵を渡す。
作業終了後に回収する。
誰にどの鍵を貸したのかを記録する。
紛失すれば鍵を交換する。
こうした管理には手間とコストがかかります。
さらに従業員が退職する場合も問題です。
物理鍵なら、
「本当に返却された鍵以外にコピーを持っていないか」
を完全に確認することは困難です。
スマートロックなら、登録されている指紋やカード情報を削除すれば、その人は入れなくなります。
カードそのものを回収できなかったとしても、登録情報を無効化すればいいわけです。
これは賃貸住宅にも応用できます。
従来、入居者が退去すると、前の入居者が合鍵を持っている可能性を考え、錠前を交換することがあります。
スマートロックなら、以前の入居者の登録情報を削除し、新しい入居者を登録するという運用が可能になります。
不動産の内覧でも活用できます。
従来なら、不動産会社が鍵を借りたり、担当者が現地まで同行したりする必要がありました。
しかし、
「この時間だけ有効な番号を発行します」
という運用ができれば、鍵の受け渡しそのものを減らせます。
つまりスマートロックの本当の価値は、「鍵を電子化した」ということだけではありません。
鍵を受け渡す、保管する、返却する、交換するという一連の管理業務そのものを減らせることにあります。
おわりに 「鍵を持ち歩く」という常識が変わる
鍵は、私たちの生活にあまりにも深く入り込んでいるため、「変える必要のないもの」と考えてしまいがちです。
しかし、社会は大きく変化しています。
一人暮らしの高齢者が増える。
親と子どもが離れて暮らす。
介護や家事支援など、第三者が住宅を訪問する機会が増える。
宅配サービスが増える。
企業では人の出入りが複雑になり、セキュリティ管理の重要性も高まる。
こうした社会では、「一本の物理鍵を持っている人だけが扉を開けられる」という仕組みそのものが、必ずしも最適とは限りません。
指紋で開ける。
カードで開ける。
スマートフォンで開ける。
離れた場所から開ける。
一回だけ使える番号を発行する。
不要になった人の権限を消す。
そして、いつ誰が利用したのかを記録する。
こうして考えてみると、スマートロックは単なる「ハイテクな鍵」ではありません。
「鍵を持つ」という仕組みから、「入る権限を管理する」という仕組みへの転換だと見ることができます。
約12年前には、技術があっても社会の側がまだ追いついていなかったのかもしれません。
しかし、いまや私たちは日常的にスマートフォンを使い、離れた人とつながり、さまざまなサービスをオンラインで利用する時代に暮らしています。
その一方で、玄関だけは何十年も前と同じように、ポケットやカバンから金属製の鍵を取り出して開けています。
「なぜ、いまだに鍵だけは昔のままなのだろうか。」
今回のプレゼンは、そんな素朴な疑問を投げかけるものでした。
スマートロックの普及によって変わるのは、玄関の開け方だけではありません。
高齢者の見守り、家族の安心、介護サービス、宅配、清掃、店舗管理、賃貸住宅、企業の入退室管理——。
「鍵」という身近な道具を見直すことで、私たちの暮らしや仕事には、まだ大きな改善の余地が残されているのかもしれません。
今回は、文字起こしの質疑応答が始まる部分以降は本文から除外し、講演としてまとまるように再編集しました。特に「遠隔操作」「ワンタイムパスワード」「高齢者の見守り」「企業の鍵管理」を記事の柱にしています。講演中でも、開閉履歴を使えば室内カメラとは異なり、プライバシーへの配慮をしながら安否確認に利用できる可能性が説明されています。