一般社団法人OSKグローバルビジネス・プロモーション(GBプロ)では、隔月にイノベイティブな活動を行っている中小企業のかたをお招きし、お話しをいただいています。

今回は大阪市都島区に本社を構える先駆的な計測器メーカー株式会社 中央電機計器製作所の畑野社長に発表をいただきました。同社は、創業95年を迎える老舗の技術企業です。代表取締役の畑野淳一社長は、大阪府中小企業家同友会や新鋭経営会でも活躍されており、今回は「中小企業がいかにGX(グリーントランスフォーメーション)に関わるか」をテーマに発表されました。

以下は発表いただいた概要です。
当日の発表動画は→https://youtu.be/ZHusnyqVT8k
同社のwebは次の通りです。→https://www.e-cew.co.jp/
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世界に一つの検査装置を作る町工場

同社は、一品一様のカスタムメイド検査装置をハード・ソフト一貫で開発するメーカー。
「大阪下町発、世界に一つの検査装置を作る町工場」を掲げ、独自の強みを築いています。

写真で紹介されたのは、某大手重工メーカー向けの画像による表面検査装置。
幅3メートル、長さ12メートルの航空機のボディに加工されるアルミ板をエア吸着し、表面の傷やへこみを13台のカメラで非接触検査します。
「まるで巨大な洗車機のような装置です」と語る社長の説明には、ものづくりへの誇りがにじみます。
ラボビューと共に歩んだ20年
畑野社長は電子工学を専攻後、2000年に入社。
以来20年以上、**「ラボビュー(LabVIEW)」**というグラフィカルな開発言語を駆使して計測制御システムを手掛けてきました。

2003年には、日本で4番目となるラボビュー認定開発者資格を取得。
現在、同社はラボビューのプロフェッショナル集団として、米エマソン・エレクトリック社の公式アライアンスパートナーにも認定されています。
「テキストコードではなく、アイコンとワイヤーでデータの流れを表す。
頭の中で描いたイメージをそのままプログラミングできるんです」
畑野社長の語りには、ソフトとハードを一体化した“考える町工場”の姿が見えてきます。
中小企業でもGXは無関係ではない
同社のテーマ「“はかる力”で、ものづくりをGXに」は、
単にエコや省エネを指すのではなく、顧客のCO₂削減に貢献する製造を意味しています。
企業のCO₂排出量は、「スコープ1・2・3」という考え方で整理されます。
自社だけでなく、取引先も含めたスコープ3排出量の開示が求められるなか、同社のような協力企業も重要な役割を担います。
畑野社長が注目するのは、さらに一歩進んだ「スコープ4(回避排出)」。
「まだ排出されていないCO₂を、そもそも出さないようにする考え方」です。

「中小企業には削減できる量に限界がある。
だからこそ、お客様の排出削減に貢献するものづくりを意識したい」と語ります。
GXに貢献する“はかる力”の活かし方
同社では、大学教授が提唱したGX関連図に基づき、自社の強みがどこに関わるかを分析。
そこから、次の3つの方向性を見出しました。
- 省エネルギー製品・自動検査システムの開発
- 再生可能エネルギーや省人化への対応
- 装置の長寿命化による資源節約
中でも注目されるのがリモート保守・遠隔監視システム。
「出張や移動に伴うCO₂排出を減らしながら、装置を止めない現場を実現する」と語ります。
このように、“はかる力”を通して社会全体の排出回避に貢献する企業を目指しているのです。
新しい挑戦:電源レスの自立型センサー
さらに現在、大学と共同で「エネルギーハーベスティング技術」を応用した自立型センサーを開発中です。
橋梁などの振動から電力を得て、電源不要でデータを送信する仕組み。
設置も簡単で、老朽化が進む社会インフラの監視に役立つと期待されています。
「橋だけでなく、発電機のタービンや回転体にも応用できる。
中小企業の新しいブレイクスルーになる可能性があります」と語る社長の表情には、確かな手応えがありました。
未来へ向けて
畑野社長は先日、大阪・関西万博のヘルスケアパビリオンで「スコープ4と中小企業のGX」をテーマに発表し、
「なんとか万博に爪痕を残せました」と笑顔で振り返ります。
同社の取り組みは、単なる省エネではなく、
“はかる技術”を通じて未来の社会を支える中小企業像そのものです。
「まだ出ていないCO₂を出さない未来へ。
そんな思いで、これからもものづくりを続けていきたいと思います。」