米袋からサニタリーバッグを開発 株式会社シェルパック 

2024年2月20日にOSK グローバルビジネス・プロモーション(GBプロ)では、株式会社シェルパック 堂野企画室長をお招きし、同社の新製品の開発経緯とその概要をお話し頂きました。

以下はその概要です。

なお、当日の発表詳細は動画をご参照ください。

さらに、同社のホームページは下記のとおりです。

株式会社シェルパックの堂野起佐と申します。よろしくお願いします。

「やさしさ」をプラスした新しいサニタリーバッグ「Sunny

タイトルにあります通り、「やさしさ」をプラスした新しいサニタリーバック「サニー」について、新しく取り組みをしており、どういったものかを説明していきたいと思います。

 元は米袋を作っていた会社

 私どもの会社はお米のパッケージを30年来製造、販売してきた袋屋です。父が30年前に創業して、 3年前からは私も加わり一緒に働いております。その中で、私が感じたこと、30年前の創業時では父には当たり前だったけど、私にはちょっと違うなと思ったことがあり、今ある袋を違う形の袋にしていきたいという思いが起こり、今回の取り組みに至りました。

30年前に創業したのは、株式会社ドゥパック阪和で、ここでお米の袋を作り出しました。そして、シェルパック株式会社は2018年に企画販売会社という形で設立されました。 分社化した経緯は、衣類を圧縮する袋を開発したことがきっかけでした。

シェルパック株式会社が誕生したのは・・

チャックを開けて、タオルや衣類、圧縮したいもの入れて、スライダーというチャックで締める。 あとは、掃除機も何も必要なく、このまま空気を抜くことができます。この画期的な袋を父が考案して、販売しました。 空気を抜く方法は逆支弁がついていて、袋の上部のチャックを閉めた方から空気が抜けるわけではなく、袋の下に空気が抜ける弁があり、そこから空気が抜けています。 この弁は特許を取っていまして、 私どものこの袋にはエンボスという凹凸があるのが特徴です。この凹凸が入ることによって、フィルムが柔らかくなり空気が抜けやすくなります。この一工夫でこの衣類圧縮袋は ヒットしました。

この衣類圧縮がヒットしたことで企画販売会社として分社化したのが、シェルパック株式会社です。シェルパック株式会社が2018年に設立してから、2年間ほどは好調だったのですが、コロナ渦がやってきたため売り上げが一時期ゼロになるという危機に陥りました。 この衣類圧縮袋はスポーツメーカーやスポーツチームなどのノベルティとしてイベントでよく使っていただいていました。 袋全面にオリジナルのデザインを入れていただいたりしていたので、そのイベントがなくなってしまい、事業が2020年に大変なことになりました。 そのような中で私が2020年に入社し、父親からのなんとかしろの一言でどうにかしなきゃいけなくなりまして、それで今は頑張っております。

 ホテルのアニメティとして

衣類圧縮袋は、イベント以外にもホテルのアメニティとしての使い方があります。  ビジネスホテルに宿泊すると自分の衣類をよくランドリーバッグに入れて皆さん持ち帰りますよね。ランドリーバックだと、チャックがなく何も閉めるところがないため、匂いが気になることがあると思います。 その点、こういった衣類圧縮袋であればチャックを閉めることができるので、ホテルでは客室アメニティに使って頂き、ほかにもホテルの 販促品で使っていただいております。

父の米袋屋に入社するまで、そして入社してから

 私は2017年に大学を卒業して、中小企業について3年間かけて学ばせてもらい、父の会社に入社して働かせてもらうことになりました。 父の会社に入社後は色々ありましたが、「デザイン経営」という言葉に出会い、興味を持ちました。会社には一人のデザイナーさんがいましたが、どんなことができるのだろうかと、デザイン経営という観点で、一緒に考えることになりました。 考えていくうちに、私たちの袋作りの問題点、社会課題などいろんなことを解決できないだろうかと思い、工夫して考えようと取り掛かりました。

入社して最初にびっくりしたことが、お米の袋を全数検品していることでした。印刷の汚れがないか、破れや破損がないかをすべて人の目でチェックしていることに、まずびっくりしました。自動化するという仕事を大学卒業後に入社した会社で していたので、全部人間が見ているとは何事だろうと思いました。人がそれだけ頑張っているのに、捨てられてしまう袋がたくさんあることを知り、とても悲しく思いました。それで、その検品ではじかれた袋に、何か新しい命を吹き込ませて袋を作れないかと思い考え付いたのが、 この「サニタリーバック」です。

元々はお米の袋や食品の袋をメインにやっていたので、検品後に食品の袋に再利用すること、今の言葉で言うとアップサイクルすることは難しいので、このサニタリーバックに着目しました。  

捨てられるはずだったものを新たなものに甦らせる

 まだ使えそうに思われる袋の捨てられる要因は、微細なシワです。こういった袋をどんどん捨てていたので、もったいないと思っていました。

 以前からホテル業界には、 衣類圧縮袋はノベルティで取り扱って頂いておりました。ホテルのアメニティはプラスチック循環法によって、プラスチックをどんどん減らしています。ですが、どこのホテルのお手洗いにも置いてあるサニタリーバック、サニタリーボックスはずっと形が変わらないなということに気が付きました。 残念ながら日本では汚物入れと言われてしまって、文字通り汚いものを入れる箱だというイメージで扱われてしまっている。 そのイメージをなんとか袋で変えられないかと思い、 2種類のパターンの袋を考えました。

捨てられるはずだった原料や袋を再利用したサニタリーバックと、誰もが使いやすい大人用のおむつが入るサイズのサニタリーバックの2種類です。

 この捨てられるはずだった袋のサニタリーバッグは、元はクッキーの袋になるもので、中にフィルム紙が貼ってあり、それが食品だと期限が切れて使用できなくなるものを、クッキー袋の形状を活かして、サニタリーバックに活用することにしました。  

 ※プラスチック資源循環促進法とは、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」の略で、製品の設計から廃棄物の処理まで、プラスチックの商流全てにおける資源の循環等の取組を促進するための法律です。 2021年6月に公布され、2022年4月1日から施行となりました。

大人用おむつが社会変容で増加、米袋が社会課題解決になるのか

 もう1つは、大人用おむつも入るサニタリーバッグです。女性だけではなくて、男女ともに使用できるものです。 今の世の中、大人用オムツの需要は2011年と比較して現在はほぼ倍に需要が増加しています。 そういった背景があり、サニタリーバックは生理中の女性が使用するものだけではなくて、 大人用おむつを使用している方にも必要なのではないかと思い至りました。 そのため大人用おむつが入る大きいタイプの袋の必要性を感じましたので、サイズは大きく、中も広くし、チャックが閉まる形状のものを作りました。  

このサニタリーバッグは実際に大阪のリーガロイヤルホテル大阪で、2017年の7月1日から全室でご利用いただいています。リーガロイヤル大阪では、お客様が大人用おむつを客室で捨てられないということを課題に感じておられたそうです。 大人用おむつは人に隠したいということがあるようで、ホテルの人に処理について相談ができずに客室のお手洗いに流されてしまい配管が詰まった事例もあったそうです。 そのような課題をこの大きいサイズの大人おむつ用サニタリーバッグを設置することで、一部解決できているとお聞きしています。

サニタリーバックというと堅苦しさを感じるので、会社の中で考えたのが、「サニー」と名前を付けることにしました。

SDGsへの取り組み、人・環境へのやさしさを大切にして

 SDGsが掲げる12番と13番には「環境に優しい」との内容があります。私たちが1番大事にしていることに、環境に優しいこと、捨てられてしまう袋を再利用することによる 環境にやさしいというポイントだけでなく、「人にやさしい」ということを大事にしています。 ただ大量に物作りをするのではなくて、人にやさしいもの作りをしていきたいという思いがあります。

3番と8番と5番で掲げられる 「全ての人に健康と福祉」をとあります。働きがいや経済成長、ジェンダー平等を実現したいと目標に置き、私たちはこれらを大事にしています。

3番は全ての人に健康をということでイメージがしやすいかと思います。 8番の働きがいについて、具体的な例をあげますと、リーガロイヤルホテル大阪総支配人が仰っていたことは、ホテル内で働いている方も高齢化が進んでいるため、従業員が実際に困っていると、 そういうお声があったので、お客様だけでなく働かれる方も大事にするということでサニーの導入に至ったそうです。その内容は新聞記事で取り上げて頂いております。

5番のジェンダー平等に関しては、トランスジェンダーの方がお手洗いを利用する際、男性用のお手洗いにサニタリーボックスの設置がなくてもサニーを活用してもらえるのではないかと考えています。

 せっかく大阪で創業して30年この場所でやってきているので、大阪・関西万博に関わりたいと思っています。サニタリーは英語で言うと「衛生的な」と意味になりますが、この袋を通じて日本を変えていきたいと思っています。 また、このサニーの思いを、ホテルや旅館、たくさんの人が集まる場所から発信していきたいと考えています。

製品作りにおいては、本心を言えば、大量に物作りをして、たくさん出荷したいと商売としてはあります。けれども、 製品への思いや意味やストーリーにおいては、必ず背景がある製品を作りたいと思っています。ただ便利だから、ただ 売れそうだからいうことだけで私は商売していきたいとは思いません。なぜこの製品を作ったのか、なぜこの袋の角が丸いのか、なぜこの幅の形なのか、なぜこのサイズなのか、そこにはすべて理由があり意味があります。

父が30年間袋を作り続けてきた。でも、それを見た娘の私は、そのやり方はもったいないだろうという気づきがあった。さらには、そこから社会問題である大人用おむつ問題に袋が役に立つのではないかという気づきがあった。

この1つの袋ではありますが、意味やストーリーは必ずそこにある。そういうものづくりを今後もしていきたいと思っています。

ありがとうございました。